2015年05月30日

がんの知識|がん放射線治療(1)

脳メタ(転移)や骨メタした場合など、基本的には手術の難しい場所を対象にして行います。がん細胞にピンポイントで放射線を当てて破壊、又は縮小させるのでした。脳への転移はさまざまな症状を引き起こし、骨への転移は痛みがひどいため、主にこれらを抑える目的の対症療法として用いられます。

原理としては、猛烈な勢いで細胞分裂する遺伝子を壊して増殖を抑制し、あるいは古い細胞が自ら脱落して行く仕組みの遺伝子を活発化させて、がん細胞の数を激減させるのでした。X線、γ(ガンマ)線、電子線などを利用します。
※まだ研究段階ですが、この他に陽子線や重粒子線が先進医療として行われています。以前にもご紹介しましたが、「先進医療」とは、効果が定かではないために健康保険が適応されない治療法のことです。一般的に行われているこれまでの治療が勝っているかも知れません。万能であるかのような誤解をなさらないようにご注意下さい。但し、厚生労働省のホームページにアクセスすれば、どの病院(ほとんどが大学病院)で、どんな先進医療を行っているかが分かります。これも以下の様な点が前提となりますので、ご承知おき下さい。

・既に昇順治療を終えていること(他に適切な治療がない場合を意味します)
・治療によって改善・回復の見込みがあること(がんが末期の場合は門前払いされる可能性が高いです)
・高額な自己負担ができること(全額が自己負担です。治療費が数百万円に及ぶ事もあります)

などです。

放射線を使った治療には、臓器や器官の機能を温存できると言うメリットがあります。しかし、がんの種類や大きさなどによって効果も異なりますが、「放射線を照射するリスク」もあるため、その使用は担当医だけの判断ではなくて、放射線診断医や腫瘍内科医(薬物療法)、外科医など、専門医たちのカンファレンス(会議)によって慎重に検討されるのでした。

手術の前後に補完的な役割として用いられることもあります。出来る限り切除の範囲を狭めたり、切除に適さない部位のがんを消滅させるためでした。又、膵臓がんなどでは手術中に放射線を照射する場合があります。

現在の放射線治療は「がん治療の主役」ではありません。主と従で言えば、まだまだ従の立場でしかないのです。とは言え、このところ「免疫療法」が画期的な進化を遂げているように、新たに効果的な放射線治療が開発される日が来るかも知れません。ちなみにNHKのサイエンスZEROと言う番組で、最新の免疫療法に関する朗報が紹介されていました。非常に興味深い内容でいたのでご紹介しておきます。

「登場!がん治療を変える新薬 免疫のブレーキを外せ」


posted by 風と空 at 09:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 放射線治療 | 更新情報をチェックする

2015年05月23日

がんの知識|その他のがん薬物療法の知識

「分子標的治療」

従来型の抗がん剤で起こる副作用を回避する為に開発されたのが、がん細胞の特異な遺伝子やタンパク質を押え込む分子標的治療でした。

悪性リンパ腫、白血病、骨髄腫、大腸がん、乳がん、肺がん、肝細胞がん、消化管間質腫瘍、腎細胞がんの治療に使われ始めています。

しかし、全く副作用がないかと言えば、そうではありません。発疹、吐き気、だるさ、寒気、発熱など、薬剤の種類や患者さんの状態によって症状はさまざまですがやはり起こります。ごくまれに重症化して、アレルギー反応に似た症状や、肺炎、皮膚炎、心不全などを引き起こすこともあるのです。

「ホルモン療法」

内分泌療法とも呼ばれています。治療の対象となるのは、前立腺がん、子宮がん、乳がんなどです。がん細胞の成長に体内のホルモン(男性ホルモンや女性ホルモン)が深く関わっている場合に使われる治療法です。

特定のホルモンを分泌する器官を切除したり、そのホルモンを抑える為の別のホルモンを投与したりするのでした。但し、抗がん剤の様にがん細胞を攻撃する直接的な方法ではない為に、ホルモンを抑制する事で充分に転移を防げるような、早期がんの手術後の患者さんなどに限られています。

乳がんの場合では、当初は腹部に皮下注射を行って、その後は経過を診ながら錠剤の服用へと移行していきます。通常は5年間の継続的な治療となります。主な副作用としては「ほてり」や「のぼせ」など、更年期障害に酷似した症状があらわれます。その間は生理も止まり、急な体調不良に悩まされるかも知れません。ひどい場合には絶対に我慢せず、主治医に申し出て、他のホルモン剤に切り替えて貰うべきでしょう。

ホルモン療法中は、ヒステリックに陥ったり、うつ状態になることも考えられます。ご家族様や職場の皆さんの理解と協力が欠かせません。ご自分をコントロールできない事を責めるのではなくて、治療による副作用だからしかたないと素直に受け止めて行く事です。必ず元のあなたに戻れる日が来ますから、無理をせず、出来ることから一つずつ取り組んで行って下さい。

「希死念慮」と言う言葉をご存知でしょうか。自らの死を強く望む事です。しかし、現実を逃れるために死にたいと思う自殺願望とは全く別のものでした。

どう言う事か。

突然に社会から切り離され、経済的にも困窮し、家族や関係者に多大な心労をかけている。そう思う患者さんの抱く無力感の延長線上にある心のありさまでした。自分は生きていてはいけない。生きているべきではないのだと、死にたい理由や気持ちがないのに、自らを死に追いやってしまう考えに支配されるのです。実際に多くのがん患者さんが、この希死念慮に苦しめられていました。

今まで精一杯に頑張って生きて来たのです。今はがんから解放されることだけを考えて下さい。心の苦しみや悲しみを共に分かち合える方と、じっくりお話をされてみるのが最善かも知れません。決してお一人で抱え込まないで下さい。あなたを失いたくないからこそ、多くの皆さんが必死に支えてくれているのです。


      ●あなたの大切な方に「人間ドッグ」を勧めて下さい


posted by 風と空 at 09:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 抗がん剤 | 更新情報をチェックする

2015年05月16日

がんの知識|抗がん剤(薬物療法)の知識(5)


●貧血

大きく分けて2つの原因で起こります。1つは「血液を作る場所」つまり骨髄が抗がん剤の影響で機能低下し、赤血球などを極端に減少させるものでした。もう1つは消化器系などの粘膜が不足する事で管がむき出しとなり、食べ物などが通過する度に傷付いて徐々に出血が拡大するものです。

めまいやふらつき、息切れやだるさを感じたら主治医に申し出て下さい。出血している場合はまず止めなければなりません。いずれにしても抗がん剤治療を受けている間は改善が見込めないので、悪化すれば輸血と言う手段が取られる場合もあります。

●血が止まらなくなる

私たちの体は、損傷した箇所が出来ると、血液中に含まれている血小板が駆け付けて、一斉に積み重なって傷口を塞いでくれています。しかし、抗がん剤治療によって血液が減少してしまうと、この血小板の量も極端に少なくなってしまうのでした。

治療前ならたちまち止まっていた筈の血が流れ続けたりします。傷口を塞ぐ血小板が集まらないからです。傷口が開いたままであると言う事は、細菌やウイルスが侵入しやすい状態でもありました。血液の減少で、それらを迎え撃つべき白血球や好中球も減少しています。ほんのわずかなケガが、あなたを肺炎などの危険にさらしてしまうのでした。

歯ぐきを傷付けない柔らかい歯ブラシを使う以外にも、体毛や鼻毛を抜く(脱毛しない場合)、深爪をする、などは無意識に行う事が多いので注意が必要でしょう。日常生活の中でも転倒や衝突によるケガ、調理(切り傷・やけど)や作業によるケガにも細心の注意を払って下さい。ご家族様や勤務先の方にも事情を良く理解して頂き、鋭利な物を手にしない、あるいはケガの怖れのある作業には従事しないなどの対策も取っておくべきと考えます。

※出血の怖れのある性行為も、抗がん剤での治療中は好ましくありません。

●脱毛

抗がん剤の種類や量、組合せや患者さんの体質などによって個人差があります。ただ、抜けるのは頭髪ばかりではありません。眉毛もまつ毛も、わき毛も陰毛も、全身の毛が抜け落ちてしまうのでした。女性の場合、ある程度の覚悟はしていても、精神的に受けるダメージは大きなものとなるでしょう。しかし、問題は見た目ばかりではないのでした。

毛で被われている部分には、被われている理由があるのです。毛髪は外的な衝撃や紫外線から脳を護る役割を担っています。陰毛も生殖器を保護してくれているのでした。眉毛やまつ毛は、大切な瞳に異物や汗が侵入しない様にガードしてくれています。これらの機能も、脱毛と共に失われてしまうのでした。

女性ではなくても、外出時には帽子をかぶる、汗を拭うハンカチやハンドタオルを用意する、などの対策が必要です。くどいようですが、抗がん剤の治療中は大いに「臆病な小心者」でいて下さい。後の後悔先に立たずにならないよう、しっかりとご自分の心と体を護る工夫が必要なのです。

posted by 風と空 at 09:36| Comment(0) | TrackBack(0) | 抗がん剤 | 更新情報をチェックする
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