2014年11月23日

がんの知識|奇跡の治療法


わらにもすがる気持ち。

がんに限らず、重い病気を抱える方は皆同じです。それが例えご家族であっても、ご本人の気持ちを100%理解する事は出来ません。

しかも、まるで勝手の違う医療の世界にいきなり投げ込まれて、それまで手にしていたわずかな自由も奪われてしまうのです。不安と孤独に襲われるのが当然の感覚でしょう。

特に社会的地位のある男性の患者さんが、最も厳しい孤独に陥ります。看護師の勧めなどでがん相談支援センターを訪れるのは、圧倒的に女性の患者さんの数が上回っていました。もちろん、乳房や子宮など、女性としての人生や尊厳に関わる問題は深刻です。それでもがんに対する初心者である事に、女性も男性も区別はありません。

ご自分で調べる事には限界があります。

インターネットや書籍に頼るのも一つの方法ではありますが、あまりに多くの異なった情報が氾濫しているのも事実です。全く逆の主張が、説得力のある言葉で書かれている事も珍しくはありません。

最も危ういのが「奇跡の治療法」の紹介ではないでしょうか。まことしやかな体験談が無数に語られていて、医師に見放された患者さんが見事にがんを克服したと結ばれています。わらにもすがりたい方々の強い関心を引くのは言うまでもありません。

もう一度申し上げますが、現代医学にはがんに対する決定打がないのです。

医師免許の他に保険医(都道府県に登録)の資格があるのをご存知ですか。健康保険証の使える医療機関で働く医師は必ず持っています。つまり、この資格がなければ、普通の病院で患者を診る事はできません。

医師の立場は本当に強く保証されています。

度重なる医療過誤で複数の患者さんを死なせていても、医師免許をはく奪される事は極めてまれなのです。しかし、この保険医の資格を取り消されてしまった医師は少なくはありません。
どう言う事か。

病院を追い出された彼らがどうするかを考えてみて下さい。もちろん、医師を続けるなら自分で開業する以外はありません。しかし、あなたは通うでしょうか。健康保険証の使えないクリニックとなるのです。どんな治療でも全額を自己負担しなければなりません。普通の病院であれば変りのない標準治療を、わざわざそこで受ける理由が見当たらない筈です。

私が保険医の資格を取り消された医師ならこう考えます。
「全額個人負担でも、どんどん患者が来るような奇跡の治療法があると宣伝すればいい!」

あくまで一つの見方でしかありません。でも、自らの人生をずば抜けた才覚で駆け抜けていらしたような皆さんが、身近で確かな平易な情報を見過ごして、ご自分にふさわしい奇跡の復活を望んでおられるのも不幸な現実なのです。
posted by 風と空 at 20:07| Comment(0) | TrackBack(0) | 病院 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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